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しかまの里のミニ情報

新型インフル 家庭や仕事 備えは?

日本経済新聞<夕刊> 2009年9月7日(月) より

新型インフルエンザが再び流行している。手洗い・うがいといった感染予防策はもちろん、家族に感染者が出たときの備えや、学校などが閉鎖された場合の対策も重要だ。家庭で何かできるのか。体験者らの声から探った。

「息子さんが新型インフルエンザに感染したもようです」。8月下旬、大阪市の会社員、橋本耕二さん(仮名、50)の自宅に高校1年生の次男の学校関係者から連絡が入った。家族は妻、長男を含めて4人。幸い病状は深刻ではなかったが、濃厚接触者の家族は感染を広げないため自宅待機を迫られた。


自宅待機7日間

橋本さんは会社の決まりで7日間出勤できない。一瞬、抱えている仕事の遅れが頭をよぎったが、会社の在宅勤務制度を活用し、自宅で仕事を続けられた。「すでに高速通信など在宅勤務ができる態勢を整えていたので助かった」自宅待機中は家族内感染を防ぐため、タオルを別々にしたり、次男の食事・入浴を最後にしたりするよう気を付けた。「徹底するのはなかなか難しかった」が、手法いやうがいは1日に何度もしたという。

ドラッグストアに勤める東京都板橋区の近藤聡子さん(仮名、33)は、小学1年生の娘が夏休み明けの8月25日から4日間学年閉鎖になった。その影響で学童保育も閉鎖。「娘は感染していなかったが一人で家に置いておくわけにはいかない」と仕事を休んだ。全国で相次ぐ学校や保育園の閉鎖は、共働き世帯などに影響を与える。近藤さんのように休めればよいが、学年閉鎖があったある小学校では「1年生約90入のうち4人が1人で留守番をしていた」(学校関係者)という。

東京都大田区のフリーライター、宮国優子さん(38)は先手を打った。小学1年生の娘の同級生の5家族と話し合い、学校が閉鎖になった場合は親が交代で5家族の子どもたちの世話をする態勢を整えた。「ママ仲間で協力すれば、仕事の休みを最小限に抑えられる」

シッター活用も

保育園など受け入れ側の一部でも対策を整えつつある。全国で「キッズプラザアスク」などの保育園を運営するJPホールディングスは、新型インフルエンザの流行で休園となった場合、感染していない園児の家庭に希望があれば保育士をベビーシッターとして派遣する。「希望者が多ければ断るケースがでてくるが、できる限り対応したい」(社長室)

東京都や埼玉県で保育スタッフを会員宅に派遣する特定非営利活動法人(NPO法人)病児保育を作る会(千葉県船橋市)でも「保育園閉鎖で子どもが感染していなければ、できるだけスタッフを派遣したい」(賀川祐二代表理事)としている。身近にこうした団体・企業がないか、事前に調べておくことも大切だ。

現在流行している新型インフルエンザ(H1N1)は弱毒性と判明し、情報が少なかった今春の流行時ほどの厳戒態勢はとられていない。ただH1N1も呼吸器や心臓などに慢性疾患がある患者が感染すると重篤な状態に陥って死亡するケースが相次いでいる。感染拡大を防ぐ措置は不可欠だ。「ウイルスの潜伏期間は1〜7日。気付かないうちにウイルスに感染したり、広げたりするリスクがある」と順天堂大医学部の坪内暁子助教は指摘する。

丁寧な手洗いとうがい、マスクの使用などは欠かせない。冬場に児童がお茶でうがいしてインフルエンザ予防をしている静岡県牧之原市の坂部小学校は、今年初めて夏場のお茶うがいを始めた。家庭でも念を入れた予防策を心がけたい。


〜 手洗は手首までしっかりと 〜
東京都江東区の
キッズプラザアスクもんなか保育園

高齢者は症状出にくく変化見逃さず

高齢者の新型インフルエンザ対策も十分な注意が必要だ。感染疑いを含む国内患者の死亡ケースは半数以上が60代以上(4日現在)。

「慢性疾患のある場合は重症になる危険が高く、家族や介護者がとりわけ注意して見ておかなければならない」と日本医科大学の大庭建三教授(老年内科)は指摘する。高齢者は生理機能が低下しているため感染してもインフルエンザの症状が出にくい傾向がある。熱やせきがでないうちに、意識が突然低下することも多く、ふらふらしていないかなど日常の小さな変化にも注意が必要になる。

訪問介護サービスをしている神戸ライフ・ケアー協会(神戸市)はこうしたリスクを踏まえ、心臓病や糖尿病などインフルエンザに感染すると重症になりやすい利用者のリストアップ作業を始めた。「危険度の高い利用者をサービス提供責任者やヘルパーが把握しやすくし、十分に注意を喚起している」(神谷良子理事長)

デイサービスなど高齢者の通所介護施設が休所になった場合の備えも急がれる。宮城県角田市の太田秀雄さん(70)は寝たきりの妻(69)を日中は施設に預けているが「休所となった場合に24時間自分ひとりで世話をし続けられるだろうか」と心配する。

今年5月の流行時に通所施設の一斉休所を経験した神戸市は、休所時に家庭へヘルパーを派遣する要介護者の優先順位などを調整中。認知症かどうか、一人暮らしかどうかなど状態に合わせてケアプランをどう変更すべきかなども検討しているという。

一時は「高齢者は新型インフルエンザにはかかりにくい」との説もあったが、新しいウイルスだけに情報はどんどん変わっていく。順天堂大の坪内助教は「家庭でも最新・正確な情報を収集しておくことが大切」と呼びかけている。


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