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03-高齢者虐待防止法

ひょうごの福祉 2007 December No.682号より

平成18年4月1日より「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」が施行され、高齢者の虐待の防止に関する国や地方公共団体等の責務、虐待を受けた高齢者の保護措置、家族や介護施設などの養護者による高齢者虐待防止のための支援措置等が定められた。 

法が制定された背景

近年、家庭や介護施設などにおいて、高齢者に対する身体的・心理的虐待、介護や世話の放棄・放任等が表面化し、深刻な問題となっている。平成16年度の兵庫県の調査(※1)によると、高齢者の虐待について「生命に関わる緊急対応が必要な状態」は75事例あり、高齢者虐待全体の9.1%にものぼる。こうした状況をうけ、高齢者虐待防止法は施行された。

虐待の原因としては、「両者の人間関係」や「虐待者の性格」が主であるが、「介護疲れ」も40.7%と高い数値となっている。虐待している養護者=加害者として捉えがちだが、介護疲れなど、養護者自身が何らかの支援を必要としている場合も少なくない。

 

高齢者虐待防止法とは

高齢者虐待防止法では、高齢者虐待の防止と養護者による虐待への対応を柱として、住民に身近な市町村が高齢者の保護を主体的に担うことなどを定めている。また、虐待を行っている養護者への支援についても定めている点は大きな特徴である。

市町村や地域包括支援センターが虐待対応の窓口となり、虐待を受けていると思われる高齢者を発見した者には市町村への通報努力義務が課されている。市町村は、積極的な介入の必要性が高いと判断した場合に、介護保険サービス(短期入所・施設入所等)や、やむを得ない事由等による「措置」(特別養護老人ホーム・養護老人ホームへの短期入所等)などにより高齢者の保護・分離を行うことができる。ここでの「高齢者」とは、65歳以上の者と定義され、虐待は以下の5つの種類に分類される。

◆高齢者虐待の定義・分類
区分 内容と具体例
I 身体的虐待 暴力的行為などで、身体にあざ、痛みを与える行為や、外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為。
II 介護・世話の放棄・放任 意図的であるか、結果的であるかを問わず、介護や生活の世話を行っている家族が、その提供を放棄または放任し、高齢者の生活環境や、高齢者自身の身体・精神的状態を悪化させていること。
III 心理的虐待 脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等によって精神的、情緒的苦痛を与えること。
IV 性的虐待 本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為またはその強要。
V 経済的虐待 本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由無く制限すること。

 

虐待対応を進めるネットワーク

高齢者虐待防止法の施行後である平成18年度の1年間に市区町村が把握した虐待の事例は、12,633件である事が厚生労働省の調べ(※2)で明らかとなった。この件数だけを見ても、いかに多くの虐待が起きているのかをうかがい知ることができる。また、市区町村における体制整備としては、「対応窓口となる部局の設置」が91.3%と高い割合を占める一方で、「介入支援ネットワークの構築(医療福祉サービス:23.3%、関係専門機関:19.2%)」や「措置に必要な居室確保のための関係機関との調整(39.9%)」、「警察署担当者との協議(32.0%)」など、ネットワークの構築については未着手である場合が多い。ネットワークの構築が進んでいない状態では、介入の準備や保護施設の確保などに時間がかかり、緊急性を要するケースに対応しきれないことが想定される。迅速・円滑に対応を進めるための基盤整備は急務の課題である。

 

※1 兵庫県『県内における高齢者虐待の実態調査及びその防止策に関する調査研究報告著』平成17年3月発行 より
※2 厚生労働省『平成18年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果(暫定版)』平成19年9月21日発表 より



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